
3月23日(金)、国立劇場「
蓮絲恋慕曼荼羅」を観劇して来ました。
暖冬のため桜の開花は早そうという予想に反して、桜の開花が遅れ、国立劇場の「桜まつり」も期間延長。それでも、この日、しっかり咲いていたのは写真の駿河桜くらいだったかな。千穐楽の日曜日には、他の桜ももう少し開いてくれるといいですよね。。。
さて、「
蓮絲恋慕曼荼羅」。感じたことをいろいろと書きたかったのですが、うまくまとめることができませんでした。舞台の感想なのか、物語の感想なのか、自分でも混乱してしまう有様なので、読みにくいかとお思います…。すみません;;
先日は後方での観劇で豊寿丸の直衣がえらくペラペラでのっぺりとした安っぽいものに観えて不満だったのですが、今回、前方で拝見しましたら、女性陣の豪華な衣装に引けを取らない、地模様の素敵な衣装だということが分かり、一気に不満が解消されました。舞台では豪華な地模様も、観客には観えにくいので、もう一工夫ほしいところです。
舞台装置はごくシンプルで、上手側と下手側に、桜色、藤色、黄緑色、黄色、水色など淡い色合いの板が5枚(?)ずつ。その重なり具合をいろいろと替えることによって舞台変換をしていました。床が傾斜していて、舞台に奥行きを出していたのも、歌舞伎としては新しい演出といえるでしょうか。あの傾斜面では、特に長袴での演技や、折檻される時の初瀬の演技は、とても大変なものではないかと思います。貧しい人々の徘徊といい、この傾斜の床といい、劇団四季の「ジーザス・クライスト=スーパースター」を彷彿とさせる冒頭でした。
(余談。ジャポネスク・バージョンがまた観たいなぁ…。)そして、暗がりから徐々に光が差してゆき、夕暮れ時に恋しい姉を待ちわびて佇む豊寿丸の美しい姿が現れて、第一声「最早、日も傾いた。」。いきなり、玉さまワールド全開。昨年7月の「夜叉ヶ池」の冒頭、萩原晃の「水は、美しい。」とそっくりでした(笑)
段治郎さんの豊寿丸は、先日よりもこなれてしまっていたのが、残念でした。公演初めの頃の緊張感やちょっとしたぎこちなさが、豊寿丸の精神的未熟さを現すのにちょうどいいスパイスになっていたと思うのです。豊寿丸のあどけなさと冷酷さの境目が中和されてしまって、胸に響きにくくなっていたように思います。
先日からがらりと変わった印象を受けたのは、
右近さんの照夜の前。結構、綺麗じゃなぁい!?
(豊寿丸は産まれないと思うけど…ちゅどーん!)照夜の前の性格のキツさが増していたから、そう感じたのかな?初瀬への折檻の場面は、明らかにパワーアップしていましたからね(汗)
玉三郎さんの初瀬は、父と豊寿丸の亡骸を見送り、一人泣き崩れる場面がく、もらい泣きをしてしまいました。玉さま、本当に、感極まってらしたのかしら?
「
蓮絲恋慕曼荼羅」は豊寿丸の初瀬への恋心から物語が始まります。観劇前にプログラムをさっと読んで、豊寿丸が息絶える直前に初瀬に「生まれ変わってもまた姉上の弟になりたい」と言う件に「あれ?」と思いましたが、観劇して納得。豊寿丸は実の母・照夜の前から得られなかった“母の愛”に似た“母性”を、初瀬の中に見ていたのだと感じました。
初瀬と間違えて豊寿丸を刺してしまった照夜の前が、目の前の豊寿丸に触れもせず、詫びる言葉すら発せずに、「もはやこれまで」と地獄谷に身を投じてしまうその行動から、彼女の豊寿丸への執着が“母の愛”ではなかったことが分かります。照夜の前にとって豊寿丸は、自分の身分を維持するための道具に過ぎず、それを豊寿丸はずっと感じていたのではないかと思います。
物語の中で、どうしても、1つだけ腑に落ちないのが、最後の最後に初瀬が帝に頼ろうとするところです。「蓮の茎を百駄集め、その茎を折って、糸を紡ぎ、糸を染め、その糸をもって、一丈五尺の曼荼羅を織りなさい」という、実の母・紫の前(神々しい
春猿さん♪)の天からの声は、蓮の茎の集め方は言及していませんし、百本とは訳が違うのは分かるのですが…、「私は三位中将の内侍じゃ」と発した瞬間、それまでどこまでも清らかだった初瀬が急に凡人に観えました。「世拾い人になる」と晴々した心で尼になろうという初瀬は、凡人ではないとは思いますけれど…。帝に云々ではなく、蓮介が「蓮のたくさん咲く池を知っていますよ」なんて台詞のひとつでもあれば充分であり、さらに物語性が深くなるのではないかと思いました。
段治郎さんの蓮介は、大らかでかわいらしい。もう少し、出が長かったらよかったのに。。。でも!カーテンコールは、できれば、蓮介ではなく、豊寿丸でお願いしたかったです!!!「蓮介物語」じゃないんですからぁ(笑)…衣装替えはやりようがありそうだけれど、顔色が違うから無理なのかな?
今回は2度観しましたが、物語が単純で坦々と進んでゆくので、何度も観るにはちょっと物足りない感じでした。
再演されるなら、
笑三郎さんの月絹と、
右近さんの照夜の前を、チェンジしてやってみていただきたいです。
笑三郎さんの侍女役ははまり役なのですが、照夜の前が初瀬や紫の前と同格に張り合えるくらいの美女だともっと面白くなると思いますし、月絹の芯の強さとたおやかさは
右近さんにもはまると思います。
豊寿丸と、
猿弥さんの松井嘉藤太との立ち回りは、もう少し長めにお願いっ!!!
段治郎さんも動きの少ない役ですし、このお二人の立ち回りは、あんな少しではもったいないです(笑)
それから、
玉三郎さんの演出には合わなくなるとは思いますが、豊寿丸を、実年齢が近くて演技もまだ荒削りな俳優さんが演じられたら、違った面白さが出るお芝居だと思いました。

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